Author:
長谷川順二 (HASEGAWA, Junji)
Publication Date:
2016.2.26
Publisher:
六一書房
Abstract:
中国第二の大河である黄河は、中国の民衆や社会に対して大きな恩恵を及ぼしてきた。一方で黄河は「善淤(濁る)、善決(決壊する)、善徙(移動する)」とも称され、決壊による災害を引き起こす恐るべき存在でもあった。そして繰り返される決壊により、黄河の河道は幾度も移動した。ひとたび黄河が移動すると、周辺の農地は荒れ果て、都城は崩壊し、時には行政区画の変更すら起きるなど、中国社会に多大な影響を及ぼしてきた。にも関わらず、これまで黄河の河道変化について詳細な考察は行われていない。
本書では戦国~前漢末の黄河古河道を対象として、従来の文献資料に基づく検討に加え、衛星画像や地形データ等のリモートセンシングデータ解析および黄河下流平原の現地調査を実施し、現在の地形や地質等の状況を確認したうえで古河道を復元する。また復元した古河道に基づき、当時の社会への影響等に関する再検討を行う。
Table of Contents:
序
第1部 前漢期黄河古河道復元に向けて
第1章 文献資料にみる前漢前後の黄河変遷説
はじめに
第1節 黄河改道に関する諸説
第2節 前漢黄河の開始および終了時期
第3節 秦漢期黄河治水史
第4節 前漢河道の位置
おわりに
第2章 黄河のすがた
はじめに
第1節 黄河の概要
第2節 黄河の来源
第3節 黄河の誕生時期
第4節 黄河下流平原の地形的特性
第5節 現在の黄河水問題
おわりに
第3章 本書における使用資料
はじめに
第1節 文献資料
第2節 地図資料
第3節 リモートセンシング(RS)データ
おわりに
第2部 前漢期黄河の地域別検討
第1章 河南省北東部・滑県~濮陽市
第2章 河北省大名県~館陶県
第3章 河南省武陟県~延津県~滑県
第4章 河北省東光県~滄州市~黄驊市~渤海
第5章 山東省聊城市~平原県~徳州市
第3部 復元古河道を利用した中国古代史の再検討
第1章 前漢期の黄河決壊に関する一考察
はじめに
第1節 復元河道の概要
第2節 決壊記事の検討─武帝元光3年春以降─
第3節 黄河決壊の連鎖性
おわりに
第2章 「中国古代専制国家の基礎条件」に関する再検討
はじめに
第1節 木村説と前漢黄河
第2節 RSデータを利用して復元した前漢期古河道
第3節 復元河道に基づく木村説の再検討
おわりに
第3章 復元古河道(戦国~前漢末)の検証
はじめに
第1節 前漢黄河由来の微高地
第2節 「沙河」と夏津県の由来
第3節 本研究で判明した事実
第4節 黄河改道と前漢郡県制の展開
第5節 前漢以前の黄河下流平原の実情
おわりに
補論 現地調査記
第1章 調査の概要
第2章 調査記Ⅰ 河南省滑県~濮陽市~南楽県
第3章 調査記Ⅱ 河北省大名県~館陶県
第4章 調査記Ⅲ 河南省武陟県~延津県~滑県
第5章 調査記Ⅳ 河北省東光県~滄州市~黄驊市~渤海
第6章 調査記Ⅴ 山東省聊城市~高唐県~平原県~徳州市
あとがき
中文要旨
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