Thursday, January 11, 2018

環境から解く古代中国

Author:
Hara Motoko (原宗子) 

Publication Year:
2009

Publisher:
Taishukan, Tokyo



Abstract:

曹操を有利にした気温の変化とは? 「酒池肉林」が批判された本当の理由とは? ―『史記』『論語』『三国志』をはじめ、有名古典を「環境」の観点から読むことで、「森林伐採」「リサイクル」「公共事業の失敗」など現代にも通じる「環境問題」や、人と自然の関わりが、歴史をどのように動かしてきたかが見えてくる。

Table of Contents:

はじめに

本書中の主な史跡位置略図

第一話 「象」という字は、なぜできた?――殷周期の気候変動
  漢字が映す動物たち/温暖だった華北/殷王の狩猟の記録/犠牲と酒

第二話 「七月」が詠う冬支度――西周期の黄土高原
  『詩経』の中の“数え歌”/★風(ひんぷう)とは/住まいと食べ物/衣服

第三話 孔子の愛弟子・子路のバンカラの秘密――春秋~漢の毛皮観
  毛皮を着る人・着ない人/毛皮コート作りの専門集団/
  「末業」と呼ばれて/禁苑の野獣ランク/
  『礼記』玉藻の動物観/狐狢って何?

第四話 「株を守る」のウラ事情――戦国期中原の開発と鉄器
  なぜにハタケに木の根っこ/宋という国柄/春秋初期の耕地整備
  ウサギはどこから?/東アジア農業の「大変」さ/
  「株を守る」の出現条件

第五話 ホントは怖い(?)「一村一品」政策――春秋~漢代の斉の特殊性
  古代の居住空間/斉の自然環境と社会構成/
  『管子』が語る斉の国造りと衣類/軽重の策/孟軻の斉国滞在と観察/
  『管子』思想の影響

第六話 合従連衡は、異文化同盟?――戦国秦漢期、北方・燕の環境
  弁舌で作る天下の形勢/お世辞の中身/「黄腸題湊」/
  漢帝国初期の多様な環境/交易された品々/合従策の実態

第七話 スパイ鄭国の運命―秦の中国統一と大規模灌漑
  「統一」事業完成のいきさつ/「澤鹵」の出現した場所/古代の「環境破壊」/
  「澤鹵」利用法の逆転ウラ技―イナ作/鄭国のラッキーポイント

第八話 司馬相如のカノジョはイモ娘?――秦漢期・四川に生きる心意気
  オシャレ文士のバツイチ獲得作戦/卓文君の実像は?/卓文君のご先祖/
  卓氏のもくろみ/鉄作りで生きる条件/イモから生まれた卓文君

第九話 「公共事業」は昔も今も……――漢・武帝期の大規模灌漑と後遺症
  ドロは確かに肥沃だけれど……/畑作灌漑の盲点―再生アルカリ化/
  代田法―再開発の秘策/白渠の記載の意義

第十話 “帰順”匈奴のベンチャービジネス
    ――漢代の「ペットボトル」と大狩猟イベント
  古代中国の携帯容器/『氾勝之書』の農法/匈奴と漢の関係/
  藁街の住人たち/多肥料農業の経営者/ヒョウタンで稼ぐ、という発想

第十一話 海と女と酒と「叛乱」―王莽・新の税制と環境
   海が支えた日本の農業/海の男のサボタージュ/王莽の新規税制/
  「海に入る」呂母たち/「海辺」の色々/呂母の出自

第十二話 戦国男の夢実現(?!)―漢代シルクロードを支えた「内助の功」
  孟子の理想社会/秦漢期男性の家事能力/桑弘羊の経済政策/
  精耕細作と擬似森林/絹織物生産普及の余波

第十三話 曹操も手こずった黄河の凍結――魏晋南北朝期の気温変化と戦法
  『三国志』の舞台は寒かった/曹操の勢力確立/黄河凍結/
  寒くなって移動した人々/気温変化が変えた暮らし/鮮卑族や匈奴の凍結対応

第十四話 均田制、もう一つの貌――五胡から唐宋期の樹木観
  土地を「支給」する法令の中身は?/北魏・均田制の特質/植樹の伝統/
  唐宋樹木観“変革”期(?!)

第十五話 「貧困の黄土高原」はなぜできた――明清・中華帝国の光と影
  華北の樹木消失のいきさつ/カラホトの悲劇/山西・太原付近の養蚕衰退/
  中国の環境推移の流れ

あとがき

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