Author:
Hara Motoko (原宗子)
Publication Year:
2009
Publisher:
Taishukan, Tokyo
Abstract:
曹操を有利にした気温の変化とは? 「酒池肉林」が批判された本当の理由とは? ―『史記』『論語』『三国志』をはじめ、有名古典を「環境」の観点から読むことで、「森林伐採」「リサイクル」「公共事業の失敗」など現代にも通じる「環境問題」や、人と自然の関わりが、歴史をどのように動かしてきたかが見えてくる。
Table of Contents:
はじめに
本書中の主な史跡位置略図
第一話 「象」という字は、なぜできた?――殷周期の気候変動
漢字が映す動物たち/温暖だった華北/殷王の狩猟の記録/犠牲と酒
第二話 「七月」が詠う冬支度――西周期の黄土高原
『詩経』の中の“数え歌”/★風(ひんぷう)とは/住まいと食べ物/衣服
第三話 孔子の愛弟子・子路のバンカラの秘密――春秋~漢の毛皮観
毛皮を着る人・着ない人/毛皮コート作りの専門集団/
「末業」と呼ばれて/禁苑の野獣ランク/
『礼記』玉藻の動物観/狐狢って何?
第四話 「株を守る」のウラ事情――戦国期中原の開発と鉄器
なぜにハタケに木の根っこ/宋という国柄/春秋初期の耕地整備
ウサギはどこから?/東アジア農業の「大変」さ/
「株を守る」の出現条件
第五話 ホントは怖い(?)「一村一品」政策――春秋~漢代の斉の特殊性
古代の居住空間/斉の自然環境と社会構成/
『管子』が語る斉の国造りと衣類/軽重の策/孟軻の斉国滞在と観察/
『管子』思想の影響
第六話 合従連衡は、異文化同盟?――戦国秦漢期、北方・燕の環境
弁舌で作る天下の形勢/お世辞の中身/「黄腸題湊」/
漢帝国初期の多様な環境/交易された品々/合従策の実態
第七話 スパイ鄭国の運命―秦の中国統一と大規模灌漑
「統一」事業完成のいきさつ/「澤鹵」の出現した場所/古代の「環境破壊」/
「澤鹵」利用法の逆転ウラ技―イナ作/鄭国のラッキーポイント
第八話 司馬相如のカノジョはイモ娘?――秦漢期・四川に生きる心意気
オシャレ文士のバツイチ獲得作戦/卓文君の実像は?/卓文君のご先祖/
卓氏のもくろみ/鉄作りで生きる条件/イモから生まれた卓文君
第九話 「公共事業」は昔も今も……――漢・武帝期の大規模灌漑と後遺症
ドロは確かに肥沃だけれど……/畑作灌漑の盲点―再生アルカリ化/
代田法―再開発の秘策/白渠の記載の意義
第十話 “帰順”匈奴のベンチャービジネス
――漢代の「ペットボトル」と大狩猟イベント
古代中国の携帯容器/『氾勝之書』の農法/匈奴と漢の関係/
藁街の住人たち/多肥料農業の経営者/ヒョウタンで稼ぐ、という発想
第十一話 海と女と酒と「叛乱」―王莽・新の税制と環境
海が支えた日本の農業/海の男のサボタージュ/王莽の新規税制/
「海に入る」呂母たち/「海辺」の色々/呂母の出自
第十二話 戦国男の夢実現(?!)―漢代シルクロードを支えた「内助の功」
孟子の理想社会/秦漢期男性の家事能力/桑弘羊の経済政策/
精耕細作と擬似森林/絹織物生産普及の余波
第十三話 曹操も手こずった黄河の凍結――魏晋南北朝期の気温変化と戦法
『三国志』の舞台は寒かった/曹操の勢力確立/黄河凍結/
寒くなって移動した人々/気温変化が変えた暮らし/鮮卑族や匈奴の凍結対応
第十四話 均田制、もう一つの貌――五胡から唐宋期の樹木観
土地を「支給」する法令の中身は?/北魏・均田制の特質/植樹の伝統/
唐宋樹木観“変革”期(?!)
第十五話 「貧困の黄土高原」はなぜできた――明清・中華帝国の光と影
華北の樹木消失のいきさつ/カラホトの悲劇/山西・太原付近の養蚕衰退/
中国の環境推移の流れ
あとがき
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