Thursday, February 20, 2020

怪を志す: 六朝志怪の誕生と展開

Author:
佐野誠子 (Seiko Sano)

Publication date:
2020

Publisher:
名古屋大学出版会



Abstract:
歴史と宗教のあしもとで ——。「怪力乱神を語らぬ」儒教の国にあって、怪異はなぜ、いかにして記録されるようになったのか。『今昔物語集』等にも影響を与えた古代中国の「志怪」について、史書の伝統や仏教伝来との関係を軸に、社会的文脈から生成過程、文体まで、初めてトータルに捉え、中国人の精神のかたちを逆照射する。

Table of Contents:
凡 例
志怪年表

序 章 六朝志怪と怪異の歴史記録
   1 怪を志す「小説」
   2 「怪」とは何か
   3 志怪はどのように位置づけられてきたのか
   4 志怪のテキストについて

第Ⅰ部 史の伝統の中で

第1章 志怪の文脈
      —— 歴史書の拡大と変異の記録
     1 史と志怪
     2 雑伝書
     3 五行志
     4 変異情報の伝達と編集

第2章 志怪の系譜
      —— 五行志との関わりを手掛かりに
   1 応劭『風俗通義』における災異と怪異 —— 志怪誕生の素地
   2 干宝『捜神記』と五行志 —— 志怪の成立
   3 南朝宋時代の変異記録の行方と志怪 — 『宋書』五行志と『異苑』を中心に

第3章 志怪の怪
     1 廟 神
     2 幽 鬼

第Ⅱ部 仏教を受け止めて

第4章 志怪における僧侶
      —— 新たなる怪異との邂逅
     1 仏教伝来と志怪への影響
     2 僧侶と志怪
     3 僧伝と志怪

第5章 仏教志怪の系譜
      —— 応験記との関わりを手掛かりに
     1 仏教志怪の誕生
     2 『幽明録』『宣験記』と『冥祥記』—— その内容の違い
     3 『繋観世音応験記』の構成と他の仏教志怪
     4 応験譚の南北差 —— 佚名の文献資料を手掛かりに
     5 応験記と志怪

第6章 冥界遊行の仏教化
     1 僧侶の冥界遊行 —— 慧達劉薩荷を例に
     2 僧侶の冥界遊行が作られた理由
     3 『冥祥記』の僧侶と『高僧伝』の僧侶

終 章 中国「小説」史への吸収
     1 実録という形式と態度
     2 実録という形式を用いた虚構
     3 唐代における二種類の「伝」と歴史からの離脱

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