Friday, June 14, 2019

三国志の考古学: 出土資料からみた三国志と三国時代

Author:
関尾史郎 (Sekio, Shiro)

Publisher:
東方書店

Publication date:
June, 2019




Abstract:

小説『三国志演義』の描く英雄たちの活躍によって、日本でもよく知られている三国時代。本書では、その三国時代について、『三国志演義』ではなく、史書の『三国志』でもなく、発掘調査によって中国各地で出土した資料によりながら考える。曹操の墓である高陵の発見は記憶に新しいところだが、この高陵や、呉の名将である朱然の墓からは貴重な文物が出土している。そして七万点以上という、一地点からの出土枚数としては最大を記録した走馬楼呉簡など、三国時代に関する出土資料は近年増加の一途をたどっている。本書では、簡牘や石刻をはじめ、漆器・陶器や画像石・墓葬壁画に至るまで、多種多様な出土資料を取り上げ、膨大な研究史を整理したうえで、新たな知見を提供する。また、それをふまえて史書『三国志』の解釈にも見直しを迫っている。

Table of Contents:

はしがき
第一章 曹氏の人びと――曹氏一族墓と出土刻字塼
はじめに
一 『三国志』のなかの曹氏一族
二 『水經注』に記された曹氏一族墓
三 発見された曹氏一族墓
四 刻字塼とは
五 姓名塼を読み解く――曹氏塼
六 姓名塼を読み解く――曹氏塼以外の姓名塼
おわりに

第二章 曹操の死――高陵とその出土文物
はじめに
一 魯潜墓誌
二 高陵の発掘とその後の経緯
三 出土石牌とその意義
四 画像石の題記から
おわりに

第三章 名刺と名謁―朱然墓出土簡牘
はじめに
一 朱然とその家族墓
二 朱然墓出土の漆器類
三 名謁、名刺とは
四 名謁
五 名刺
おわりに

第四章 呉の地方行政と地域社会――長沙走馬楼呉簡
はじめに
一 後漢末の長沙郡
二 走馬楼呉簡とは
三 走馬楼呉簡の世界
四 走馬楼呉簡からみた呉・蛮抗争
おわりに

第五章 諸葛亮の「北伐」と涼州――高台地埂坡四号墓壁画ほか
はじめに
一 「涼州諸国王」の正体
二 懸泉置漢簡と「古代書簡」から
三 河西の塼画と壁画から
四 「涼州諸国王」の環境と方向性
おわりに

第六章 魏と中央アジア――トゥルファン出土墓誌と敦煌出土鎮墓瓶
はじめに
一 西域戊己校尉の復活が意味するもの
二 トゥルファンと敦煌のその後から考える
おわりに

あとがき

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