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Tuesday, March 12, 2013

秦帝国の領土経営: 雲夢龍崗秦簡と始皇帝の禁苑

Author:
馬彪

Publication Year:
2013

Publisher:
京都大学学術出版会




Abstract:
始皇帝は、秦帝国を統一後死去するまでの10年間に5回もの巡幸を行った。いわば統一後の生涯の全てを征服地への旅にあて、自ら権威を示したのであるが、その際拠点にしたのが禁苑(皇帝の庭園)である。旧来祭祀の場と解釈された禁苑が、帝国支配の出先であったこと、そしてその支配の実態を最新の出土竹簡研究によって明らかにする。

Table of Contents:

第一章 研究の課題と方法

第1節 龍崗秦簡の実態調査からの課題
 はじめに
 一 現地での調査
 二 出土当時の実態
 三 M6の埋葬者をめぐる問題
 四 両雲夢秦簡の発見場所
 五 竹簡の状態に関する調査と討論
 六 文字の専門家との討論
 おわりに
第2節 龍崗秦簡をめぐる三重証拠法
 はじめに
 一 二重証拠法と簡牘学の誕生
 二 司馬遷が創建した実地考察の方法
 三 遺跡の実地踏察の重要性
 四 「紙上」と「地下」をつなぐ実地調査
 おわりに

第二章 研究史上における問題

第3節 龍崗秦簡に見る「禁中」の真義
    ―「禁中」は「宮中」のみにとどまるものではない―
 はじめに
 一 古典文献に見る曖昧な「禁中」の意味
 二 「宮中」の意味に限定されない「禁中」の用例
 三 龍崗秦簡に見る「禁苑」と「禁中」
 四 秦・漢皇室の禁区にてみな「禁中」となす
 おわりに
第4節 龍崗秦簡簡1号の解釈と性格
 はじめに
 一 簡1号の釈読・解釈についての疑問
 二 「池魚」は「池漁」である
 三 「両雲夢」は両「雲夢官」を表す
 四 「雲夢禁中」すなわち雲夢「禁苑」の考察
 おわりに

第三章 龍崗秦簡が出土した楚王城

第5節 楚王城の非郡県治的性格
    ―城址と墓葬―
 はじめに
 一 楚王城郡県治説とその問題点
 二 楚王城遺蹟の非郡県治的性格
 三 墓葬の分布とその非郡県治的性格
 四 雲夢楚王城と宜城楚皇城の比較
 おわりに
第6節 雲夢楚王城の二重の性格
    ―禁苑と沢官―
 はじめに
 一 楚王城雲夢離宮禁苑説の曖昧さ
 二 龍崗秦簡に見る楚王城の禁苑的性格
 三 雲夢禁苑を兼管する雲夢沢官
 四 「秦律十八種」に見る楚王城の官署的性格
 おわりに

第四章 龍崗秦簡に見る禁苑の構造と皇帝の巡幸道

第7節 「禁苑€(X')」の空間構造とその由来
    ―秦朝「禁苑」独特の空間構造―
 はじめに
 一 「城下田」となる公田
 二 自然の沼沢につながる禁苑の「池」
 三 「X'地」における放牧
 四 「X'」の道・猟場・墓
 五 「禁苑X'地」構造の沿革
 おわりに
第8節 出土文字による馳道の考察
    ―龍崗秦簡の「奴(駑)道」「甬道」「馳道」をめぐって―
 はじめに
 一 馳道の「奴(駑)道」
 二 馳道の「甬道」
 三 「馳道」の機能と管理
 おわりに

第五章 龍崗秦簡における「闌入」律令の考察

第9節 龍崗秦簡に見る禁苑闌入律簡の分類
    ―『唐律疏義』衛禁律との比較研究―
 はじめに
 一 禁苑闌入律簡
 二 「持伝律」に見る禁苑の「符伝」制
 三 「侵入律」の「有不当入而闌入」罪
 四 「滞留律」と「当出」而「不出」の罪
 五 「畜入律」と「畜産闌入禁苑」への対応
 おわりに
第10節 龍崗秦簡に見る「闌入」罪と関連律令
 はじめに
 一 「竇出入」「毋符伝」という「闌入門」罪
 二 「符伝」の偽造・仮藉・譲渡の「闌入門同罪」
 三 「盗入」、「当出者」而「不出」の「闌入」罪
 四 闌関、「馳道」闌入と畜産獣の誤入禁地
 おわりに

第六章 龍崗秦簡における入禁と通関の符伝制

第11節 黔首の通関と入禁の符伝制
 はじめに
 一 「有事禁苑中者」の黔首徭役徒
 二 「治園」徭役徒の「伝書」
 三 「関」と「司馬門」
 四 関所での「合符」と「伝書閲入之」
 五 禁苑の「入司馬門久」符制と伝制
 おわりに
第12節 龍崗秦簡に見る「参弁(辧・辨)券」
 はじめに
 一 簡11号の釈読と解釈の問題点
 二 「参弁(辧・辨)券」の出土文字史料
 三 「不幸死」者の棺具弁券説の提出
 四 責任追及の証拠となる「参弁(辧・辨)券」
 おわりに

第七章 龍崗秦簡の律名復元と文字の特徴

第13節 「龍崗秦律」における律名の復元
 はじめに
 一 律名の復元と龍崗秦簡の「盗律」
 二 龍崗秦簡における「賊律」の復元
 三 龍崗秦簡に見る「囚律」
 四 龍崗秦簡における「捕律」の律文
 五 龍崗秦簡に見る「雑律」
 六 龍崗秦簡における「具律」の律文
 七 龍崗秦簡における「徭律」「伝令」「闌令」の律文
 八 龍崗秦簡における「廏律」の簡文
 九 龍崗秦簡に見る「金布律」
 一〇 龍崗秦簡に数多く見られる「田律」(「田租税律」「田令」を含む)
 おわりに
第14節 龍崗秦代簡牘における古文字の特徴
 はじめに
 一 篆書風が濃厚な「古隷」文字
 二 簡牘に現れた秦隷と小篆との共存
 三 古文と「其」の古文法の使用
 おわりに

第八章 龍崗秦簡による周秦帝国原理への新思考
    ―古代農―牧境界文明の優位性―

第15節 古代中国帝王の「巡幸」と「禁苑」
 はじめに
 一 帝王の政と殷・周・秦時代の巡幸
 二 祭祀巡幸による古代禁苑の変遷
 三 秦朝における「禁苑」の分布・構造と機能
 おわりに
第16節 農耕文明を征服する帝国の原理
    ―龍崗秦簡の動物管理の律令を中心として―
 はじめに
 一 龍崗秦簡に見る秦の農―牧境界文明
 二 牧畜・狩猟を重視する動物管理律
 三 農業・遊牧両立の「耕戦」国策
 四 動物を人格化する秦律の特徴と意義
 五 中国古代農―牧境界文明の歴史的位地
 おわりに

付 録
 Ⅰ 龍崗秦簡訳注(一〇編)
 Ⅱ 龍崗秦簡写真版(釈文付き新編号順)
 Ⅲ 龍崗秦簡文字編(一四巻)
 Ⅳ 龍崗秦簡関連論文・書籍目録

索 引

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