Sunday, November 4, 2012

文献と遺物の境界:中国出土簡牘史料の生態的研究

Editors:
籾山明(Akira MOMIYAMA)、佐藤信(Makoto, SATO)

Publication Year:
2011

Publisher:
六一書房 




Abstract:

これまでの中国出土簡牘研究は、文字の釈読や語句の解釈に専念するあまり、簡牘(木簡・竹簡)の出土遺物としての側面を軽視してきた感がある。本書はこうした傾向に対する批判に立って、簡牘が文献と遺物の境界に位置する史料であるとの視点から、研究を新たなステージに引き上げようとする試みである。

具体的には、簡牘と出土遺構の関連性、文書の書き手と行政実務、作製から再利用・廃棄に至る簡牘のライフサイクル、墓中に副葬される簡牘の意味、および紙への移行の実態などの問題が、それぞれの史料に即して実証的に分析される。そこに見えてくるのは、多様な形態をもち、移動し、生成・消滅する動的な史料としての出土簡牘の姿であり、また担い手となる古代人の行動と人間関係である。この点において本書は、社会史的な関心にも十分に応える内容となっている。中国史研究者のみならず、日本木簡研究や史料論に関心をもつ方々に、ぜひ一読をお願いしたい。 

Table of Contents: 

額済納調査報告記
中村威也 著
3−19

K七一〇遺跡の性格について
高村武幸 著
21−36

漢代辺郡の都尉府と防衛線
片野竜太郎 著
37−60

序論
籾山明 著
63−67

簡牘文書の種類と遺址諸要素の関係
李均明 著
69−79

漢代簡牘文書における正本・副本・草稿と署名の問題
邢義田 著
81−138

候官における簿籍の保存と廃棄
青木俊介 著
139−161

簡牘の再利用
高村武幸 著
163−184

馬王堆三号墓出土簡にみる遣策作成過程と目的
鈴木直美 著
185−222

日本古代文書木簡の機能と廃棄
佐藤信 著
223−238

簡牘・【ケン】帛・紙
籾山明 著
239−252

下層の歴史と歴史の下層
劉増貴 著
253−269

書写材料とモノの狭間
陶安あんど 著
271−279

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